あなたのおうちはどこでしょう？

さようなら…わたくしは、貴方のことを愛しておりましたよ。

…って、何のネタだったっけ（’’）

確かに、ある時点、それもごく最近までは、私はあの人のことを好きであった。
あの人のあやつるキャラクターを、考えたシナリオを、マスタリングを。ネタを。

少しずつもらし始めた不満も、真面目で物事をよく考える人にはありがちのこと。
内容に異論があったわけではなかった。
そうだね、みんなわかってくれるといいね、ぐらいに。

そんな気持ちが一転したのは、とあるセッションの後から。
シナリオ上、このような結果がありうる展開はまずいのではないか？
という指摘をした後の反応からだ。

指摘を受け入れずに反発されたから嫌いになった、と言えば単純な話になる。
その際のやりとりが、普段の穏やかな様子からは考えられないほどかたくなだったこと。
物事を真面目によく考える人と思っていたのに、
その問題による影響の推測結果が私とあまりにも食い違い、あさはかだと思ったこと。

むこうも、セッション中にプレイヤーが思うように動かなかったイライラがあっただろう。
今まで少しずつ蓄積していた不満もあっただろう。
抑制がきかなくなりそうだったのでその時点でぶつかり合うことは避けたが、
その後私はあの人を色眼鏡つきで見るようになってしまった。
むこうも私を色眼鏡つきで見るようになったかもしれない。
あの時にきちんと話し合っておけばよかった、なんて後の祭りだ。
人の感情はちょっとしたきっかけで嘘のようにひっくり返ってしまう。

ひっくり返った後に考え起こせば、その変化が決して
黒髪がショックで白髪になったような、突然すぎる出来事ではなかったことがわかる。
じりじり空気を入れていった風船が破裂したような。
核燃料が臨界点を突破してぽこぽこ分裂しだしたような。
偏光器で光の波長を計ってここまではピンクサファイア、ここからはルビー、と決めるような。
欽ちゃんの仮装大賞でおまけに1点もらって合格になったような。
そんなことは、いくらでもある。

普段から自主的に嫌なことを我慢しがちな人は、不満をためこんでしまうのはもちろんのこと、
他人にまで我慢を要求してしまうことがある。
だがそれは要求された方にしてみれば筋違いで、おおやけに出すべき感情ではない。
それならば我慢をやめればいいか？
我慢するのはおかしい、もう耐えられないと声を上げ始めた頃には
溜まりに溜まった不満が冷静な思考力を侵蝕している。
我慢はほどほどにね。
思考から感情を切り離すことはできないんだ。

自分で物事をよく考えようとする人ほどこの場から立ち去ってゆく、
という言には部分的に同意する。
私も以前いた合唱団やサークルを抜ける時に思ったことだ。
だか、全面的に同意するためには追加条件がある。

「物事をよく考える人ほど、自分の考え方に合わない集団からは立ち去ってゆく」

人が複数集まった集団なんてみんなそういうもので、特定の集団だけがそうだとは思わない。
今、集団に所属している人の多くは、何も考えずに居座っているわけではなく、
その集団の長所も短所も単なる特徴も考え合わせた上で、自分に合っていると判断して
そこにいるのだろう。
「オレはここを改革してやるぜ！」なんてエネルギッシュなのもたまにいたが。

私はここにいる。